海底を覆うビニール袋、奪われる命 - Pythonでシミュレーション
長崎大学の研究グループが発表した調査結果は、私達の消費行動が遠い海の底で静かに、しかし確実に生物たちの命を奪っている現実を突きつけます。底引き網漁で回収された海底ごみのうち、たった5枚のビニール袋が、小型生物たちの逃げ場を奪い、窒息死や捕食のリスクを高めているというのです。
想像してみてください。私達が何気なく手にするコンビニの袋、スーパーの袋。風に飛ばされ、川を流れ、やがて広大な海へと辿り着きます。海底に沈んだそれは、無数の小さな命を閉じ込める檻となり、生態系に深刻な影響を与えているのです。
この問題の深刻さをより深く理解するために、今回はPythonを用いて、簡単なシミュレーションを作成してみましょう。これは極めて簡略化されたモデルですが、ビニール袋が海底に存在する影響を視覚的に捉える一助となるはずです。
Pythonスクリプト:海底ごみシミュレーション
import random
def simulate_seabed(num_organisms, num_bags):
organisms = [True] * num_organisms
bags = random.sample(range(num_organisms), num_bags)
trapped = 0
for i in bags:
if organisms[i]:
organisms[i] = False
trapped += 1
return trapped, num_organisms - trapped - num_bags
def main():
num_organisms = 100
num_bags = 5
trapped, survived = simulate_seabed(num_organisms, num_bags)
print(f"生物の総数: {num_organisms}")
print(f"ビニール袋の数: {num_bags}")
print(f"ビニール袋に捕らわれた生物の数: {trapped}")
print(f"生存した生物の数 (ビニール袋の影響を受けなかった): {survived}")
if __name__ == "__main__":
main()
このスクリプトは、海底に生息する生物の数をnum_organisms
で定義し、ビニール袋の数をnum_bags
で定義します。ランダムに選ばれた位置にビニール袋を配置し、その位置に生物がいれば「捕らわれた」とみなします。最後に、捕らわれた生物の数と、ビニール袋の影響を受けずに生存した生物の数を出力します。
この単純なシミュレーションからも、わずかな数のビニール袋が、多くの生物に影響を与えうる可能性が示唆されます。
私たちにできること
このニュースとシミュレーションを通じて、私達は日々の消費行動を見直す必要性を改めて認識する必要があります。レジ袋の削減、マイバッグの利用、プラスチック製品の利用抑制など、できることはたくさんあります。
海を守るためには、一人ひとりが意識を変え、行動を変えることが重要です。私たちの選択が、未来の海、そしてそこに生きる生命を守ることに繋がるのです。
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