原子核の形はアーモンド?物理学の常識を覆す発見と、それを可視化するPythonスクリプト
70年もの間、物理学の世界では「重い原子核はラグビーボールのような回転楕円体をしている」というのが定説でした。しかし、理化学研究所を中心とした国際研究チームが、この常識を覆す驚くべき発見を発表しました。なんと、特定の原子核(具体的にはバリウム144)の形状が、ラグビーボールではなく、アーモンドのような非対称な形をしていることが明らかになったのです。
この発見は、原子核物理学の根幹に関わる重要なものであり、原子核の構造や反応メカニズムの理解を深める上で大きな進展をもたらすと考えられます。特に、原子核の形状は、原子核がどのように崩壊するか、他の原子核とどのように反応するかを決定する重要な要素であるため、今回の発見は、核エネルギーの研究や医療分野への応用にも影響を与える可能性があります。
研究チームは、フランスの加速器施設GANILにおいて、バリウム144のビームを生成し、特殊な検出器を用いて原子核から放出されるガンマ線を詳細に測定することで、その形状を特定しました。その結果、バリウム144の原子核は、中心部がわずかにずれた非対称な形状、つまりアーモンドのような形をしていることが判明したのです。
このニュースに触発されて、今回は、原子核の形状を単純化して可視化するPythonスクリプトを作成してみました。このスクリプトは、原子核を楕円体として近似し、その形状を3Dで描画するものです。今回の発見のように、アーモンド型のような非対称な形状を正確に表現することはできませんが、原子核の形状をイメージする一助になるかと思います。
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from mpl_toolkits.mplot3d import Axes3D
def ellipsoid(a, b, c, resolution=50):
u = np.linspace(0, 2 * np.pi, resolution)
v = np.linspace(0, np.pi, resolution)
x = a * np.outer(np.cos(u), np.sin(v))
y = b * np.outer(np.sin(u), np.sin(v))
z = c * np.outer(np.ones_like(u), np.cos(v))
return x, y, z
def main():
a = 1.0
b = 0.8
c = 0.6
x, y, z = ellipsoid(a, b, c)
fig = plt.figure(figsize=(8, 8))
ax = fig.add_subplot(111, projection='3d')
ax.plot_surface(x, y, z, color='skyblue')
ax.set_xlabel("X")
ax.set_ylabel("Y")
ax.set_zlabel("Z")
ax.set_title("Simplified Atomic Nucleus Shape")
plt.show()
if __name__ == "__main__":
main()
このスクリプトを実行すると、楕円体の3Dグラフが表示されます。a
, b
, c
の値を変更することで、楕円体の形状を調整することができます。例えば、a=1.2
, b=1.0
, c=0.8
とすると、よりラグビーボールに近い形状になります。
今回の発見は、原子核物理学の世界に新たな風を吹き込むものです。Pythonのようなツールを活用しながら、ミクロな世界の奥深さを探求していくのは、非常に刺激的な体験になるでしょう。今後、今回の発見が原子核物理学にどのような影響を与えていくのか、注視していきたいと思います。
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