エネルギー基本計画改定とPythonスクリプトによる電力構成シミュレーション
政府がエネルギー基本計画を改定し、脱炭素電源として再生可能エネルギー(再エネ)と原子力発電(原発)を「最大限活用」する方針を打ち出しました。地球温暖化対策の加速化とエネルギー安全保障の強化を両立させる狙いがあるようです。
この政策転換は、日本のエネルギー政策に大きな影響を与える可能性があります。特に、電源構成比率の変化は、電力価格、CO2排出量、エネルギー自給率といった様々な指標に影響を及ぼします。
そこで、今回のコラムでは、このニュースにちなんで、再エネと原発の電源構成比率の変化がCO2排出量に与える影響を簡易的にシミュレーションするPythonスクリプトを作成します。あくまで単純なモデルですが、政策の方向性を理解する一助となれば幸いです。
import numpy as np
def calculate_co2_emission(power_source_ratio, co2_emission_factor):
"""電源構成比率からCO2排出量を計算する関数"""
total_emission = 0
for source, ratio in power_source_ratio.items():
total_emission += ratio * co2_emission_factor[source]
return total_emission
def main():
"""メイン関数"""
# 電源構成比率(初期値)
initial_ratio = {
"Coal": 0.3,
"LNG": 0.4,
"Renewable": 0.2,
"Nuclear": 0.1
}
# CO2排出原単位 (kg-CO2/kWh) ※概算値
emission_factor = {
"Coal": 0.85,
"LNG": 0.40,
"Renewable": 0.05,
"Nuclear": 0.01
}
# CO2排出量を計算
initial_emission = calculate_co2_emission(initial_ratio, emission_factor)
print(f"初期CO2排出量: {initial_emission:.2f} kg-CO2/kWh")
# 再エネと原発の比率を上げるシナリオ
new_ratio = {
"Coal": 0.1,
"LNG": 0.3,
"Renewable": 0.4,
"Nuclear": 0.2
}
# CO2排出量を計算
new_emission = calculate_co2_emission(new_ratio, emission_factor)
print(f"変更後CO2排出量: {new_emission:.2f} kg-CO2/kWh")
# 削減率を計算
reduction_rate = (initial_emission - new_emission) / initial_emission * 100
print(f"CO2排出削減率: {reduction_rate:.2f}%")
if __name__ == "__main__":
main()
このスクリプトは、電源種別ごとの構成比率とCO2排出原単位を入力として、全体のCO2排出量を計算します。initial_ratio
は初期の電源構成比率、new_ratio
は再エネと原発の比率を上げたシナリオの電源構成比率をそれぞれ表しています。emission_factor
は電源種別ごとのCO2排出原単位を示しています。
スクリプトを実行すると、初期のCO2排出量、変更後のCO2排出量、そしてCO2排出削減率が表示されます。あくまで簡略化されたモデルですが、再エネと原発の比率を高めることで、CO2排出量を大幅に削減できる可能性を示唆しています。
今回のエネルギー基本計画の改定は、現実的には多くの課題を抱えています。例えば、再エネの出力変動対策、原発の安全性確保、国民の理解と協力など、克服すべきハードルは少なくありません。しかし、脱炭素社会の実現に向けて、今回の政策転換が重要な一歩となることを期待します。
このPythonスクリプトをベースに、より複雑な要素(電力需要の変化、技術革新、コストなど)を考慮したシミュレーションを行うことで、より詳細な分析が可能になります。政策立案者や研究者にとって、このようなツールがより有効活用されることを願っています。
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