PyTorchでAIを創造する:初心者から始める深層学習フレームワークの基礎知識
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【Yuki】
Hirokiくん、こんにちは。今日はPythonのライブラリの中でも、特にAIやディープラーニングの世界で主流となっている「PyTorch(パイトーチ)」について、一緒にお勉強していきましょう。
最近のAIニュースでも、新しいモデルが発表されるときには必ずと言っていいほどこのPyTorchの名前が出てきますよね。少し難しい内容も含まれるかもしれませんが……わたしなりに、ゆっくり丁寧に説明してみたいと思います。
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【Hiroki】
Yukiさん、よろしくお願いします!PyTorchって名前はよく聞くんですけど、具体的に何ができるのか、TensorFlowとか他のライブラリと何が違うのか、ずっと気になっていたんです。高校生の僕でも、基礎から理解できるでしょうか……?
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【Yuki】
大丈夫ですよ。Hirokiくんならきっと理解できます。
PyTorchは、Meta(旧Facebook)のAI研究チームによって開発されたオープンソースの機械学習ライブラリです。その最大の特徴は、「Pythonらしく書けること」と、「計算グラフが動的であること」だと私は思います。
……まずは、PyTorchがどのような仕組みで動いているのか、基本的な概念から見ていきましょうか。
PyTorchの心臓部:テンソル(Tensor)
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【Yuki】
PyTorchを扱う上で一番最初に覚えなければいけないのが「テンソル」というデータ構造です。
これは、簡単に言うと多次元配列のことなのですが、NumPyの配列(ndarray)と非常によく似ています。ただ、決定的な違いが一つあります。それは、「GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を使って高速に計算ができる」という点です。
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【Hiroki】
GPU!ゲームとかで使う、あのグラフィックボードのことですよね?AIの計算にはGPUが向いているって聞いたことがあります。
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【Yuki】
その通りです。AIの学習には膨大な行列計算が必要になるので、並列処理が得意なGPUが不可欠なんです。
PyTorchでは、このテンソルを使ってすべてのデータを表現します。実際にどうやって書くのか、少しコードを見てみましょうか。
import torch
# 2行3列のテンソルを作成します
data = [[1, 2, 3], [4, 5, 6]]
x_data = torch.tensor(data)
# ランダムな値で初期化されたテンソル
shape = (2, 3,)
rand_tensor = torch.rand(shape)
print(f"Random Tensor: \n {rand_tensor} \n")
print(f"Shape of tensor: {rand_tensor.shape}")
print(f"Datatype of tensor: {rand_tensor.dtype}")
print(f"Device tensor is stored on: {rand_tensor.device}")
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【Hiroki】
本当だ、NumPyと書き方が似ていますね。最後の device という項目で、CPUかGPU(CUDA)かを確認できるということでしょうか。
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【Yuki】
ええ、そうです。デフォルトではCPUになっていますが、.to('cuda') と記述するだけで、計算の舞台をGPUに移すことができるんですよ。こういう直感的な操作感が、PyTorchが多くの研究者に支持されている理由の一つかもしれません。
自動微分(Autograd):学習を支える魔法
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【Yuki】
次に大切なのが、「自動微分(Autograd)」という機能です。
AI、特にニューラルネットワークが学習するというのは、簡単に言うと「正解との誤差を最小にするように、モデル内部のパラメータを調整する」という作業です。この調整のために「微分(勾配)」の計算が必要になるのですが……これを手計算でするのは、とても大変ですよね。
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【Hiroki】
数学の授業でやる微分ですよね。それを何万個もあるパラメータに対して計算するなんて、僕には想像もつかないです……。
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【Yuki】
ふふ、そうですよね。でも、PyTorchなら backward() というメソッドを呼び出すだけで、自動的にすべてのパラメータの勾配を計算してくれるんです。
これを可能にしているのが「動的計算グラフ」という仕組みです。計算を行うたびにその履歴を記録して、逆方向にたどることで微分値を算出する……という、とても賢い仕組みなんですよ。
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【Hiroki】
自動でやってくれるなら、僕たちは数学の細かい計算に悩まされずに、モデルの構造を考えることに集中できるということですね!
ニューラルネットワークの構築:torch.nnモジュール
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【Yuki】
さて、ここからは実際にどうやってAIの形を作っていくかについてお話しします。
PyTorchでは、torch.nn というモジュールを使ってモデルを構築します。基本的には nn.Module というクラスを継承して、自分だけのネットワークを作ることになります。
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【Hiroki】
クラスを継承する……。少しプログラミングらしい話になってきましたね。
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【Yuki】
そうですね。でも、型が決まっているので慣れれば難しくありません。
主に2つのメソッドを定義します。
1. __init__: ネットワークで使用する「層(レイヤー)」を準備する場所。
2. forward: 入力データがどのように各層を通り抜けて出力されるか、という「流れ」を書く場所。
具体的なコードの例を書いてみますね。
import torch.nn as nn
import torch.nn.functional as F
class SimpleNet(nn.Module):
def __init__(self):
super(SimpleNet, self).__init__()
# 入力層から隠れ層(128ユニット)
self.fc1 = nn.Linear(28 * 28, 128)
# 隠れ層から出力層(10クラス分類)
self.fc2 = nn.Linear(128, 10)
def forward(self, x):
# データをフラット(1次元)にする
x = x.view(-1, 28 * 28)
# 活性化関数ReLUを適用
x = F.relu(self.fc1(x))
# 出力層へ
x = self.fc2(x)
return x
model = SimpleNet()
print(model)
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【Hiroki】
これがAIの設計図になるわけですね。nn.Linear というのが、いわゆる「全結合層」というやつでしょうか?
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【Yuki】
正解です、よく知っていますね。
このように、部品を組み合わせて自分なりの形を作っていく作業は、どこかパズルのようで楽しいですよ。
ただ、設計図があるだけではAIは賢くなりません。次に、データをどうやって読み込ませるかを考えなければいけません。
データの管理:DatasetとDataLoader
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【Yuki】
AIに学習させるための大量のデータ……。これを一つずつ手作業で読み込ませるのは効率が悪いですよね。
そこでPyTorchには、「Dataset」と「DataLoader」という便利な道具が用意されています。
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【Hiroki】
どう使い分けるんですか?
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【Yuki】
Datasetは「データそのものとラベル(正解)」をセットにして、1つずつ取り出せるようにした箱のようなものです。
一方、DataLoaderは、そのDatasetからデータを「まとめて(バッチ)」取り出したり、順番をバラバラに(シャッフル)したりしてくれるマネージャーのような存在です。
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【Hiroki】
なるほど。大量の教科書がDatasetで、それを効率よく生徒に配る先生がDataLoader、というイメージですね。
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【Yuki】
その例え、すごくわかりやすいです……!
これを使うことで、メモリの消費を抑えながら、効率的に学習を進めることができるようになります。
学習のループ:AIが賢くなるプロセス
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【Yuki】
モデルもできて、データも準備できました。最後に、これらを組み合わせて「学習」させる工程が必要です。
PyTorchでの学習は、一般的に以下のようなステップを繰り返します。
- モデルに入力データを渡す(Forwardパス)。
- 出力と正解を比較して誤差を計算する(Loss計算)。
- 誤差を元に逆方向に微分を計算する(Backwardパス)。
- 計算された勾配を使ってパラメータを更新する(Optimizerの更新)。
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【Hiroki】
なんだか、人間がテストを受けて、間違えたところを復習して、次のテストに備えるのと似ていますね。
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【Yuki】
本当にその通りだと思います。
PyTorchでは、この「復習の仕方」を決めるための「オプティマイザ(最適化アルゴリズム)」も豊富に用意されています。例えば「SGD」や「Adam」といった名前のアルゴリズムが有名ですね。
実際の学習ループのコードは、だいたいこのような形になります。
import torch.optim as optim
# 損失関数(誤差の測り方)
criterion = nn.CrossEntropyLoss()
# オプティマイザ(パラメータの更新ルール)
optimizer = optim.Adam(model.parameters(), lr=0.001)
# 学習ループ
for epoch in range(10): # 全データを10回学習
running_loss = 0.0
for inputs, labels in dataloader:
# 1. 勾配をゼロにリセット
optimizer.zero_grad()
# 2. 予測(Forward)
outputs = model(inputs)
# 3. 誤差計算(Loss)
loss = criterion(outputs, labels)
# 4. 逆伝播(Backward)
loss.backward()
# 5. パラメータ更新(Step)
optimizer.step()
running_loss += loss.item()
print(f"Epoch {epoch+1}, Loss: {running_loss/len(dataloader)}")
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【Hiroki】
optimizer.zero_grad() というのはなぜ必要なんですか?
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【Yuki】
それは鋭い質問ですね。
PyTorchでは、勾配(微分値)は計算されるたびに「足し算(累積)」されていく仕様になっているんです。なので、新しいバッチの計算を始める前に、一度綺麗に掃除しておかないと、前のデータの影響が残ってしまうんですよ。
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【Hiroki】
なるほど、リセットを忘れると、おかしな学習結果になってしまうんですね。注意しないと……。
PyTorchのエコシステム
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【Yuki】
PyTorchがこれほどまでに普及したもう一つの理由は、周辺のライブラリ、いわゆる「エコシステム」が非常に充実していることです。
例えば、画像処理なら「torchvision」、自然言語処理なら「torchtext」、音声処理なら「torchaudio」といった具合に、特定の分野に特化した便利な道具が最初から揃っています。
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【Hiroki】
最初から全部自分で作らなくても、便利な道具を借りてこれるのは心強いです。
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【Yuki】
ええ、特に「学習済みモデル」という、すでに誰かが大量のデータで賢くしてくれたモデルを再利用する「転移学習」という手法も、PyTorchなら簡単に試すことができます。
全くのゼロからAIを作るのは大変ですが、誰かの知識を借りて自分流にアレンジするところから始めるのは、とても楽しいはずですよ。
まとめ
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【Hiroki】
Yukiさん、ありがとうございます。PyTorchの全体像が、少しだけ見えてきた気がします。
「テンソル」を基本にして、「モデル」を作って、「データ」を読み込ませて、何度も「復習(学習ループ)」させる……。プロセスが論理的で、プログラミングを学んでいる僕にとっても親しみやすい気がしました。
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【Yuki】
そう言ってもらえると、わたしも嬉しいです。
PyTorchは自由度が高い分、最初は覚えることが多いと感じるかもしれませんが……一歩ずつ進んでいけば、自分のアイデアを形にするための、この上なく強力な武器になってくれると思います。
もしエラーが出て詰まってしまったら、いつでも私に聞いてくださいね。……一緒に解決策を探すのは、嫌いじゃありませんから。
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【Hiroki】
はい!まずは簡単な画像分類から挑戦してみようと思います。また教えてくださいね、Yukiさん!
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【Yuki】
ええ、喜んで。
もっと深く知りたいときは、公式サイトのチュートリアルを眺めてみるのもおすすめですよ。とても綺麗にまとまっていて、読んでいるだけでも勉強になりますから。
PyTorch公式チュートリアル
……ふふ、HirokiくんがどんなAIを作るのか、密かに楽しみにしていますね。
参考サイト - PyTorch公式ドキュメント - PyTorch チュートリアル(日本語翻訳版) - Deep Learning with PyTorch: A 60 Minute Blitz
この記事では基礎を解説しましたが、実務においては「もっと複雑なデータを扱いたい」「独自のシステムに組み込みたい」といった、個別の課題に直面することも多いはずです。
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